【2018年6月28日ニュース】大高氏第四回公判―警備法廷に固執する裁判長

繰り返される警備体制下の公判

 6月27日午後1時半から、大高氏の第四回公判が、東京地方裁判所の429号法廷で行われました。弁護側は期日前に上申書を提出し、警備法廷を改めるように要望しておりましたが、裁判所は警備法廷を強行し、その結果、大高氏は今回も出廷を拒否しました。大高氏と弁護側の再三の要望を無視して、警備法廷を強行する裁判所は、公平な裁判の進行を著しく阻害させる要因となっているとしか思えません。

 傍聴人が多数の警備員に囲まれるように、法廷に入り、着席した後、裁判長は前回と同様に、当日、大高氏が出廷しない状況を説明しました。裁判長は東京拘置所からの報告書を紹介し、それによると、大高氏には召喚状が出され、(不当に拘束されている)東京拘置所の職員が、出廷するように求めたところ、「裁判官は犯罪者だから、自分は出廷しない」というように答え、出廷を拒否し、強制的に連行しようとする職員に抵抗したということです。裁判長は、これをもって刑事訴訟法286条の2の規定が適用でき、被告人不在の欠席裁判が可能であるとして、開廷を宣言しようとしましたが、長谷川弁護士が次の点を指摘して、開廷に反対しました。

  • 東京拘置所の報告書は、信頼できない。最近の公務員の公文書捏造、偽造の例もある。
  • 大高氏の不出廷は、警備法廷では正常な裁判を行えないことが理由であり、正当な理由なく出廷を拒否しているわけではないので、刑訴法の同条の規定は適用されない。

 裁判長はいつものように、弁護側の主張を無視して、開廷を宣言して、審理に進みました。しかし、裁判長のこのかたくなな姿勢により、公判の進行は阻害されることになります。

写真証拠の確認

 強引な開廷ののち、審理は弁護側が提出した証拠の確認に移りました。前回の公判では、写真と映像の証拠と大高氏が逮捕されたときの法廷内の警備体制の対象とされていたW氏の証人尋問を弁護側が要請しており、裁判長はこれをスケジュールとして、当日の審理を進めようとしたようです。

 まず、裁判所庁舎内の防犯カメラ映像をコマドリしたと思われる5枚ほどの写真の提出について、弁護側と裁判官および検事との確認作業が行われました。その後の公判の進行で明らかになることですが、裁判所は写真の証拠を採用しましたが、映像の証拠提出は却下したようです。

W氏の証人尋問

 次に、W氏の証人尋問に移り、W氏が証人席に進み、真実を述べることを宣誓しました。しかし、裁判長が警備法廷を強行するので、大高氏が出廷しておらず、長谷川弁護士は、大高氏のいない法廷で、重要な証人であるW氏の証人尋問をすることはできない。大高氏にも尋問権があるが、それも侵害することにもなると訴え、本日の審理はここで終了し、W氏の証人尋問は大高氏が出廷できる、警備法廷ではない正常な法廷で行うようにしてほしいと述べました。

 これに対して、裁判長は、本日の法廷は刑事訴訟法286条の2の規定により成立しており、証人尋問は弁護側の申請に応じて採用したものである。ここで、弁護側が尋問を行わないのならば、尋問権を放棄したことになり、証人尋問はこのまま終了することになる。と述べ、次回以降の尋問を否定しました。 弁護側は、自分らは尋問権を放棄したとは言っていない。大高氏が出廷できない状態の法廷は正常ではなく、そのような法廷で被告の弁護活動を行うことができないということだと反論しました。

 しかし、裁判長はいくつかのやり取りの後、弁護側が尋問権を放棄したとみなすとして、W氏の尋問を終了させ、次回期日の決定に話を進めようとしました。

 これを見て、弁護側は、このような法廷で、次回期日を決めるといわれても、そのような話に応じることはできない、自分らはこのような法廷では正常な弁護活動を行えないので、これで引き取らせていただきたいとして、退廷しようとしました。裁判長は、今回も在籍命令を出し、退廷を許しませんでした。

映像証拠の却下についてのやりとり

 法廷は、警備法廷の可否についてのやり取りに終始しましたが、その間に、映像証拠の却下に関する質問と説明がありました。映像証拠は裁判所庁舎内の監視カメラの映像であり、大高氏が逮捕された前後の状況がつぶさに記録されているといいます。弁護側は、これによって、大高氏が当日何ら法廷を妨害するような行為を行っておらず、警備態勢を敷いていた職員が大高氏を取り囲んで、過剰で不要な警備を行っていることが立証できるので、ぜひ証拠採用してほしいと述べました。裁判長は、映像証拠を却下した理由を述べ、そのような立証趣旨があるのならば、新たに証拠の番号を採番して再提出すれば、再考すると述べました。また、話は前後するかもしれませんが、裁判長は、合議の末、W氏の証人尋問は本日は終了したが、弁護側が再請求をするのならばそれを認めると述べ、しかし警備法廷を譲ることはできないと付け加えました。

警備法廷に固執する裁判長

 大高氏の裁判は警備法廷をなぜ裁判長が実施するのかというやりとりを解消できずに、第4回公判に至っています。大高氏は、警備法廷では公平な裁判は望めないので、警備法廷には出廷できないと意思表示し、弁護士もその意向を尊重して、裁判長に警備法廷を行わないよう申し入れているのに、裁判長はその申し入れを一貫して無視しております。そこで、弁護側が、警備法廷を採用する理由を述べてほしいと、口頭でも書面でも質問するのですが、裁判長は、法廷秩序維持のために警備法廷が必要であると判断したのであり、裁判官の法廷警察権に基づくものであると回答するだけで、なぜ、警備法廷が必要であると判断するのかという質問に、答えません。しかし、弁護側が指摘するように、裁判官に法廷警察権があるとしても、何をしてもいいということではなく、通常の法廷の様態と異なる法廷とするような意味で、その権限を使用するからには、裁判長に説明責任があると思います。裁判長は、ときに、「独自の情報収集により、警備法廷が必要であると判断している」といったようなことをポロリと漏らしたりしていますが、結局は、法廷警察権の行使についての説明をする必要はないという態度に終始しております。仮にも警察権などという強権を行使する主体が、行使の理由ついて説明する必要がないというのは、制約もチェックもない警察権の横行を認めろということであり、このような乱暴な言説に納得するというのは、大高氏でなくても難しいことでしょう。大高氏が出廷できない状況を改善せずに、欠席裁判で公判を終結させれば、その結果は裁判の公平性に対する疑問を広がらせることになることは、明らかです。そのような訴訟指揮を裁判長が貫くのならば、裁判所への信頼性を失墜させるもう一つの要因を造成することになり、その責任は免れ得ないものでしょう。

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