【2018年9月12日ニュース】大高氏第六回公判―欠席裁判のまま重罪確定の見通し

 9月11日午後1時半から、東京地裁429号法廷で、大高正二氏の建造物不退去罪の第六回公判が開かれました。大高氏の弁護側は9月6日付で、裁判所に対して警備法廷を行わないよう、上申書を提出していましたが、裁判所はこれを無視しました。大高氏は、警備法廷という異常な法廷では、公平な裁判を受けられないので、出廷を拒否しました。

 午後1時半に、傍聴人の手荷物を違法に押収して、傍聴人が法廷に着席しましたが、法廷内には裁判所の5人の警備職員が配備されていました。裁判長は、冒頭、9月6日の弁護側の上申書に触れ、警備法廷と所持品検査(実際には所持品の押収)をする権限が裁判所にあるので、やめることはないと述べました。

 また、大高氏が出廷しない状況について、東京拘置所からの報告書なるものを紹介し、大高氏が正当な理由なく、出廷を拒否しているので、刑事訴訟法286条の2の規定により、開廷すると述べました。

 それに対し、長谷川弁護士が、反論しました。第一に、大高氏が出廷を拒否しているという東京拘置所職員の報告書は、信用できない。最近の省庁の公文書の偽造、隠蔽、あるいは、裁判所における障害者雇用の水増しを見ると、かつては「嘘つきは泥棒の始まり」と言われていた常識はすたれ、「嘘つきは公務員の始まり」といった状況になっている。第二に、警備法廷は公平な公開された裁判とは言えない。理由もなく警備法廷を続けることで、大高氏を出廷できなくしているのは裁判所である指摘しました。

 さらに、なぜ、警備法廷が必要なのか、実際に警備法廷をしなければならない状況はあったのかと裁判長に尋ねました。

 これに対し、裁判長は、独自の情報収集により、警備法廷が必要であると判断している。これまでの法廷で不測の事態が起きなかったのは、警備法廷体制を敷いていたからだと述べました。これは、傍聴人に対する侮辱ですが、裁判官はこのような公然たる侮辱行為を許されていると自認しているのでしょうか。あるいは、警備法廷を敷かなければ、平穏な法廷を行えないほどの、めちゃくちゃな訴訟指揮を行うということでしょうか。当日の法廷の進行を見ると、そういうことのようです。

 萩尾弁護士も、日本国憲法の条文を示し、裁判長の訴訟指揮は憲法違反だと述べましたが、裁判長は検事に意見を求め、検事は、弁護士の言うことはすべて理由がないと言い放ち、開廷に反対する弁護人の意見を無視し、開廷し、異議を棄却して、裁判を強行する裁判長は、検事に論告求刑をするように促しました。

 検事は、アマミヤダイゴ氏の証人尋問を引用し、アマミヤダイゴ氏は素晴らしい人物だと、褒め上げ、その人物の証言はすべて信頼できるとして、大高氏は裁判所を批判する不届き者なので重く罰するべきだと、述べ、懲役2年の実刑判決にすべきだと述べました。要するに、裁判公開の実体である傍聴権を蹂躙する裁判所の法的な裏付けのない攻撃に対し、大高氏が口答えしたので、これは「お上の威光を恐れぬ不届き者だ」だということです。筆者は、裁判長と検事の訴訟観を見ているうちに、タイムスリップして、お白洲にいるのではないかと、我を失いました。

 裁判長は、すまし顔で、弁護側に最終弁論をするように促しました。違法な訴訟指揮の連続に対し、怒りを込めて、長谷川弁護士は「弁論はございません」と答えました。このような裁判ともいえない法廷で、弁論することはできないという意味です。これに対し、裁判長は、「それでいいのですね」と威嚇気味に確認し、さらにすまし顔で「それでは、弁論を終結します」と述べました。

 日本の刑事裁判では、裁判官は有罪か無罪かを判断する役割を持たず、単に検事の求刑を、いくらか割引して、判決文を作文するだけの人のようです。したがって、裁判所で法廷を傍聴しようとして、裁判所から予想外の攻撃を受けて、拘束された大高氏は、2年の求刑をいくらか割引して、懲役1年6か月前後の実刑判決を受けることがほぼ確定したということです。

 ちなみに、判決の言い渡しは、10月24日(水)午前10時から、警備法廷用の429号法廷で行われるということです。

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