淳司に本人訴訟は絶対ムリ
4月30日(水)、ヒマだったので東京地裁の裁判を傍聴に行ってきた。
すなわち、北詰が提起した平成24年(ワ)23677号の国家賠償訴訟差戻審理が東京地裁で行われるので、その見物に行ってきたのである。
ところで、最高裁判所の判例によると、たとえ無実の人物を起訴した場合でも、原則として国家賠償法上の違法性を有しない(芦別事件最判昭和53年10月20日)、とされている。よって北詰の国賠は認容される可能性が限りなくゼロに近いのだが、こういう狭き門の裁判を、なんと北詰は本人訴訟でやるのだから、無知の恐ろしさほど怖いものはない。
ちなみに、北詰は国賠に時効がある(民法724条)ことすら知らず、時効を迎える数日前(平成24年8月17日)に、あわてて国賠を提起したのが本件である。
よって、出だしから周到な準備がされているとはお世辞にも言えない裁判が本件である。
本件経緯を簡単にご説明する。淳司は、平成18年5月23日に千葉県市原市で河野洋子相手に傷害事件を起こしたが、東京高裁では命冥加にも無罪判決を受け(平成21年8月5日)、同年8月20日に確定している。
淳司によると、その事件の捜査、逮捕、未決拘留、といった一連の過程において、警察・検察の対応が「酷過ぎる為!」損害を受けたのだ、と言って国家賠償を起こしたのが本件である。
本日は東京地裁・国家賠償差戻審第3回口頭弁論である。
本訴訟は631号法廷で11時30分から開かれるというため、当職が11時25分くらいに法廷に入ろうとすると、廊下に5人の警備員が立っているのが見えた。
淳司は、いくつかの民事裁判を起こしているが、公判期日外にも裁判所に電話をかけたり、裁判所に出向いて書記官に面会を強要したりする常連中の常連である(最後は追い出されたり、電話を切られたりしている)。
加えて、裁判所前で街頭演説を行って意味の分からない主張を繰り広げ、クレームをつける常連でもある。
このような要注意人物であり、ゆえに裁判所も不測の事態に備え、警備の人数を出して警戒にあたらせたのであろう。
じつに迷惑な男である。
当職が法廷に入ると、10名ほどの人が傍聴席に座っている。淳司と書記官、国側代理人はすでに法廷内におり、書記官は、何か淳司に対して書面を手交し、淳司がサインをしているのが窺える。
そうこうするうちに11時29分、裁判官3名が現れ、全員が起立・黙礼して本日の審理が開始された。
裁判長は、去る2月9日に淳司が提出した準備書面について簡単に不明点を確認した後、
裁「今日までに主要事実の骨子を出すということが難しいという話だそうですが?」
北「準備書面に書いてるように甲第1号証の32ページ中ほどに、平成18年12月20日に大高正二が淳司は悪者なので協力してほしい。(淳司を)裁判に持ち込んでいるけど、(淳司がシャバに)出てくるとインターネットで色々書かれるし、市原警察署は調書は何とでも出来るからと言っていて・・・だいたい大高だけじゃなくて、白〇〇彦、竺原光江、安淳徳が、平成23年に告訴していますが、私のことを殺人者だとか保険金詐欺だとかいうのに・・・警察は全部不起訴にするから・・・」(大要)
と、例によって意味不明なことをしゃべり始めた。
この国家賠償は、国を相手取った損害賠償訴訟であるから、原告(淳司)としては国に何をされたのかをまず明らかにするのは当然である。
ところが、訴外の大高や白〇、安、竺原の話の延々と続けているのである。今に始まったことではないが、淳司の陳述は、話の主語と述語がハッキリしないところへ、話の脈絡を失い、無関係な話を続ける性癖があるため、これまた毎度のことだが、女性裁判長は、まくしたてる淳司を制して、
裁「北詰さん。落ち着いて、落ち着いて。それらは、現在進行中のことですよね。前に起こったことを言ってほしいのです」
北「国選弁護人が記録をねつ造したり、謄本と写しをすり替えたり、カルテを偽造して私を殺そうとしたわけで・・・あと竺原光江や安淳徳が・・・」
裁「北詰さん、北詰さんもいろいろやらなきゃいけないことがあるのは、よく分かります。でもね、この訴訟でやらなきゃいけないことと、この訴訟以外のところでやらなきゃいけないものがあるんですよ。話が広がりすぎると追っかけきれなくなるから、この訴訟でやるべきことを特定したいんですよ。次までに必ず事実関係の骨子を出していただかないと。本件でいろんなことを言いたいのは分かりましたから、国に対して言いたいことを特定していただきたいんですよ」
北「しばらく(次回期日まで)時間を開けてほしいんですよ。複雑にいろんなことが、絡み合っていて、1年10か月の恨み言はとてもすぐに準備が・・・」
裁「分かりました分かりました。分かりましたから。いろいろ言いたいことがあるのは分かります。でも、前回から今回まで2か月間すでに間をあけているのです。絡み合っている話は、次に聞きますから。本件としての骨子を明らかにしてほしいんです。箇条書きで結構ですから。次回までに全体を明らかにしてください。2か月で頑張って書いてきてください。本件も、訴えが提起されてから、かなり時間がかかっているんです」
北「・・・」
裁「ご説明は、次に伺いますから」
北「それにしても、国の指定代理人が4人全員変わっているんですよ」
裁「?」
北「いつもそうなんですよ」
裁「通常の人事異動だと思いますよ。国の代理人が変わっても国そのものがなくなるわけじゃありませんから。裁判に支障はないですよ。国側が不当に訴訟を遅延させることが万一起きたら、私どもも言いますから」
北「だって私が警察や検察に行ってもすぐ人事異動したとかいって私をたらいまわしにして・・・」
裁「もういいです!とにかく、2か月一応待ちますから、まずやってください!骨子だけ明らかにしてください」
北「・・・」
裁「(間をあけるは)これで二度目ですから。2か月後で、次回期日は6月30日(水)11時半で、国側いかがですか」
国側代理人4人はうなずきあって、そのうちの一人が
国「はい」
裁「北詰さん次回6月30日でよろしいですか?」
北「はい」
裁「事情は分かりますけど審理していきたいので。私たちは全体像が全然わからないので。次回までには全体像の骨子を必ずお出しください。次回は水曜日です。大丈夫ですか?」
北「はい」
裁「それから今日までは法廷は631号ですが、次回から法廷の場が変わります・・・」
ということで、次回は6月30日に705号法廷で開かれることだけが決まり、淳司の意味不明ぶりを浮き彫りにしただけで、あとは何も話が進まないまま、20分程度で法廷は閉められた。
それにしても、当職が法廷を出ると、同じく傍聴していた大学院院生の3人連れの人たちが
「経緯がよく分かんないな」
「なんで弁護士をつけないんですかね」
と言っているのが印象的であった。
せっかく雨の中お越しいただいたのに、もっと実のある事件の傍聴をしたかったに違いあるまい。
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