裁判正常化道志会HPニュース記事より
3月13日午前11時から、東京地裁429号法廷で、大高正二氏の不退去罪事件(?)「平成29年刑(わ)第3273号」の初公判が行われました。当日は、10時30分まで、傍聴抽選券が配られましたが、傍聴希望者が傍聴席の数を上回らなかったので、無抽選になりました。開廷時刻の11時までにさらに数人の傍聴希望者が到着し、法廷の前で傍聴券を受け取りました。法廷の前の廊下は裁判所職員によって封鎖され、手荷物の預かりとボディーチェックが行われました。こういう措置を行う根拠について、多くの傍聴者希望者が職員に質問しましたが、「裁判長の命令でやっている」という答えしか返ってきませんでした。閉廷後の報告会で、手荷物については、いくつかの条件をクリアすれば、法廷に持ってはいれるということもあるらしいということが分かりましたが、それは、女性に限られているとのことです。
この日、大高氏を裁く裁判を担当する裁判官は、次の三名でした。
裁判長 園原俊彦裁判官
右陪席 石田寿一裁判官
左陪席 山部佑輝裁判官
予定時刻の午前11時になり、傍聴希望者が入廷、着席しました。傍聴席にはいくつかの空席がありましたが、ほぼ、満席の法廷でした。まもなく、手錠、腰縄で、大高氏が警備員に連れられて入廷しました。
裁判長が開廷宣言をする前に、長谷川弁護士が発言を求め、本日の法廷は明らかに警備法廷であるが(実際に、法廷の中には多数の警備員が傍聴席を囲むように立っておりました)、本来ならば裁判官は起訴状の情報だけから判断して法廷を執行しなければならないはずではないか、初回公判からこのような措置をとるのは、この裁判に対して裁判官が予断を持っているのではないか。警備法廷の理由を説明してほしいと述べました。
これに対し、裁判長は裁判官の法廷警察権に基づいて、この措置をとっているのであると答え、起訴状の情報から裁判を行うことと、法廷警察権の行使に関する情報の収集は別のものであると考えると述べ、起訴状以外から何らかの情報を得て判断していると認めました。
長谷川弁護士は、それは、結局、裁判官が予断を持っているということであり、問題なので改めてほしいと要望しました。
次に、萩尾弁護士が発言を求め、この事件は建造物不退去というが、大高氏は裁判所の法廷前の廊下にいたのであり、(裁判所という建物の性質上)建造物不法侵入というような状況は起こりえないものであるので、公訴棄却にすべきものであると述べました。裁判長は、刑事訴訟法の公訴棄却の規定から見て、本件事件は公訴棄却の条件を満たしていることが必ずしも明らかであるとは判断できないと述べ、その後の審理は開廷後に行いましょうという感じで、開廷を宣言しました。
開廷後、裁判長は大高氏に証人席に来るように命令し、被告人の氏名、生年月日、本籍、現住所、職業を聞き、一つ一つに大高氏が答えました。その後、裁判長は、検事の起訴状朗読を、そのまま(証人席で)聞きますか、席に戻りますかというようなことを大高氏に確認しましたが、大高氏は傍聴席を囲んで立っている警備職員を指して、「その前に聞かせてほしい、傍聴席に多数の警備員がいるが、こういう警備法廷をする理由は何でしょうか」と裁判長に聞くと、裁判長は「法廷の秩序維持のためだ」と答えました。大高氏は、「それはおかしい、このような法廷の在り方は法律違反だから、警備員をすべて退廷させてほしい」と述べ、「退廷させて(正常な法廷に戻せば)、裁判に応じるが、こういう違法な法廷を行う裁判官は裁判官として認められないので、自分は退廷(裁判を拒否)する」と述べました。裁判長は、警備員を退廷させることはしないと答えると、大高氏は、では自分は退廷する、被告人が退廷したら、法廷は続行できないので、裁判は行えないだろうと述べました。
裁判長が、大高氏に、勝手に退廷することは許さないと答えると、大高氏は、そのような権利がどこで決まっているですかと質問しました。裁判長は、刑事訴訟法288条にその規定があると述べ、条文を読み上げました。大高氏は、その規定の前提はどのようなものかとさらに詳しく聞いたところ、裁判長は「答える必要はない」と述べました。大高氏は、それでは、このような(法律違反の警備法廷を強行する)犯罪者裁判官のの取り仕切る裁判を受けることはできないので、退廷すると述べ、さらに主張を述べようとしたところ、裁判長が「発言をやめなさい、これ以上発言すると退廷させる」と述べました。
さらに裁判長と長谷川弁護士と大高氏が話し合い、裁判長は「このまま静かにしていられますか」と大高氏に確認したところ、大高氏は「そういう問題ではないでしょう」というような意味合いの返答をして、かみ合いませんでした。
裁判長は弁護士にとりなしを求め、あるいはどのようにするかを相談しましたが、長谷川弁護士は、大高氏の警備法廷に関する主張はもっともであり、裁判は本人の意向を無視して行うべきではなく、本人がそのような意向である限り、大高氏を退廷させてほしいと述べました。
裁判長は、大高氏を退廷させてから、閉廷を宣言し、検事の起訴状の読み上げも行われないまま、この日の法廷は終わりました。その後、裁判所の待合室で、報告会が行われ、次のようなことが分かりました。
長谷川弁護士、萩尾弁護士の説明によると、当日は、検事の起訴状読み上げののち、黙秘権の確認、大高氏の意見陳述、弁護士の陳述までを行う予定でしたが、開廷の前に大高氏の意向を聞いたところ、大高氏の警備法廷に対する前記のような方針を知らされ、大高氏の主張は正論であり、もっともだと確認したということです。当日の法廷の進行は、弁護人としても予想外だったということです。
また、大高氏が逮捕されたときの状況については、次のようなことが分かりました。大高氏の知人が、裁判所から、裁判所の特定の区域に特定の時期には入ることを許さないという「ホアンショブン」の命令書のようなものを受け取っており、大高氏が法廷を傍聴していた日に、その知人が法廷の近くに行くことを裁判所職員に妨害されていたので、大高氏は、その「命令書」のようなものを見て、これはおかしいのではないのか、命令書の根拠があいまいだ、というようなことを職員に問い正していたところ、職員が退去命令を出し、警察に通報し、警察官が来て大高氏を逮捕したということです。おかしな話ですが、この事情について、特に、裁判所が出したらしい「命令書」のようなものの、法的な根拠や発行責任の所在については、調べる必要があるかもしれません。
今後の裁判の進行は、予測しにくいのですが、次回の公判日程は、ほぼ決まっていて、予定ですが、4月23日(月)午後1時30分から、同じ東京地裁の429号法廷で行われることになるだろうということでした。報告会に参加した傍聴者からは、裁判所の対応のめちゃくちゃぶりに憤り、あるいはあきれて、様々な質問が寄せられました。また、異口同音に、大高氏の態度は正しく、闘志は素晴らしいが、年齢もあり、長期拘束による健康の悪化が案じられるという意見が出されました。
http://www.saiban-seijyouka.com/news/20180314.html