2019年2月6日午後1時半から、大高正二氏の建造物不退去罪の控訴審の初公判が、東京地裁・高裁の警備法廷用の429号法廷で開かれました。傍聴券配布から法廷の入り口前での手荷物の預かりとボディーチェックはいつものとおりで、不当なことですが、詳細は省きます。控訴審を担当する裁判官は、次のとおりでした。
裁判長 若園敦雄裁判官
右陪席 佐藤正信裁判官
左陪席 高橋純子裁判官
傍聴人が着席し、定時の1時半になって、裁判長が「開廷します」と宣言しました。その直後、長谷川弁護人が発言を求め、事前に警備法廷をやめてほしいと申し入れているのに、警備法廷になっているが、申入れに対してどう考えているのかと質問しました。これに対し、裁判長はそのような問題を質問されることが理解できないかのように、「それはなんですか」と聞き返し、弁護人が申入れに対する回答を求めていると説明しました。裁判長は、そのようなことに答えることが馬鹿馬鹿しいという態度で、「だから申入れは受け入れないということです」と答えました。弁護人が「なぜですか」と聞くと、「答える気はない」という発言を連発しました。いつものとおりで、詳細は略します。裁判長が質問を無視する態度に大高氏が「裁判長、裁判の目的は何ですか」と発言したところ、「私はあなたと議論しません」と答えました。大高氏は「裁判は国民のためのものですよね」と念を押すように言いました。
裁判長は大高氏の質問をかわして、人定質問に進み、大高氏に「名前を言ってください」と聞きましたが、大高氏は、その前に私の質問に答えてくださいと、警備法廷を理由もなく行うことで批判されている裁判官に回答を求めました。裁判長は、その質問もかわして、人定質問には答えないのですねと決め付けて、大高氏を証人席から被告席に戻させました。
これに対し、弁護人が訴訟進行に対して異議を唱えました。異議に対する裁判長の対応は、その後の例にもすべて判で押したように同じです。つまり、裁判長が「ただいまの異議について検事の意見はいかがか」と聞き、検事が「異議には理由がない」と答え、裁判長が「異議を却下します」と返すというものです。なお、検事が公判を通して言った言葉は、「異議には理由がない」、「証拠は不必要」、「(証拠提出の)やむをえない理由はない」という3パターンだけで、詳しい人が言うには、控訴審の検事はこの言葉だけいっていればよいのだそうです。大高氏はこのやり取りにあきれ、検事に対して「あなたは日本語わかるのですか」と聞きましたが、検事は答えませんでした。
裁判長は、おびただしい異議を却下して、弁護人の弁論を要求しました。これに対し、長谷川弁護士と萩尾弁護士が、弁論の書面の要旨を述べました。その内容は、
・原審の訴訟指揮の違法性、違憲性
・公共的な裁判所の法廷前の通路で、傍聴希望者に裁判所職員が退去命令を出すことは、違法であること
・原審判決のアマミヤ証言との矛盾、事実誤認
・庁舎管理規程の法的な意味
などを含むことですが、メモしきれない事項が多数ありますので、書面が入手されたときに、「でたらめ判決を正す」のホームページで公開することにします。
次に大高氏が書いた意見書についての弁論に移りました。大高氏は自分の作成した書面を自分で弁論しようとしましたが、予想通り、裁判長は刑事訴訟法388条の特定の解釈を口実に、大高氏の弁論を認めず、弁護人が読み上げるように命じました。これに対し、弁護側が、同条の規定はそのような意味ではなく、仮にそのような意味に解釈するのならば、それは日本国憲法違反の規定になると指摘、大高氏の直接の弁論を要求しました。しかし、裁判長は弁護人の主張を上の空で聞いているかのようで、被告人の弁論は認めないと言い続けました。たまりかねた大高氏が、「あなたは裁判官の資格がない、裁判官を忌避する」と忌避を要求しました。
これに対し、裁判長が「裁判官忌避について、検討します。」と一応、形式を整え、刑訴法24条により、訴訟を遅延させるための忌避なので却下すると述べました。これに対して、長谷川弁護士が、訴訟を遅延させているのは裁判長で、大高氏は最も重要な当事者である本人に弁論を許さないという公平性を欠いた裁判官を忌避しているのです、大高氏の弁論を許せば、訴訟ははるかに迅速に進んでいると批判しました。しかし、判で押したような裁判長と検事の掛け合いばかりが続き、結局、大高氏の書面も弁護人が代読することになりました。正しいだけでなく、面白い書面でしたが、この書面についても、詳細は実物の公開によりたいと思います。
次に、弁護人が審理で要求している下記の二点を検討することになりました。
・原審の訴訟指揮の違法性、違憲性を確認するための原審の裁判官の証人尋問
・庁舎管理権に関する意見書
これに対し、裁判長が検事に、この証人申請、証拠申請について意見を聞きました。検事は、裁判官の証人尋問については、かなり抵抗があるようで、「不必要」以外の何か言葉を述べましたが、よく聞き取れませんでした。また、意見書についても、不必要であり、やむをえない理由もないと述べました。これに対し、裁判長が、意見書について、原審で申請していたのですかと弁護人に聞きました。弁護人は、申請していませんが、原審判決が庁舎管理権について、通説を無視するあからさまな判断を書いており、これはいわば想定外の乱暴な判断なので、これに関する意見書が必要なのだと説明しました。
これに対し、裁判長はワンパターンの措置を繰り返し、証人尋問と証拠提出をいずれも却下し、「これにて、弁論を終結する、判決期日は2019年3月13日午後3時とする」と一方的に宣言しました。暴走する唯我独尊の裁判官の姿勢には、大高氏も弁護人も傍聴人も、怒りを感じるよりも呆れ果てるばかりでしたが、裁判長は、大高氏の退廷、傍聴人の退廷と「しゅくしゅくと」訴訟指揮を行い、控訴審は即日結審となりました。
閉廷後、傍聴人が長谷川弁護士と萩尾弁護士を囲み、弁護士会館のロビーで反省会を開きました。長谷川弁護士によると、刑事訴訟法の違憲の性格を帯びた改定が繰り返され、運用も違憲の方向に変わっており、刑事訴訟は惨憺たる状況になっているということです。3月13日の判決については、控訴棄却は必至で、大高氏はまたもや裁判所に傍聴に行ったという理由で、実刑判決を受けることになるということです。一審判決は懲役1年で未決勾留日数210日を差し引かれ、残りは150日ほどですが、10月23日の一審判決日から、3月13日まで、140日ほどで、そのうちの何日が未決勾留日数としてカウントされるか不明ですが、実刑判決による大高氏の拘束は長くても数ヶ月程度になるだろうということです。
http://www.ootakasyouji.com/news/2019/20190207.html